
しかし反面、生体であることを無視してもデンタルインプラントが成立し得ないのも事実です。紀元5世紀に一応の成功を見ながらも、その後さほどの発展を見せぬままに20世紀を迎えたのはそのためでしょうか。途中、16世紀にデンタルインプラントへの挑戦を示す例が見つかっています。しかし、これも工学的アプローチの域を出ず、マヤの天然歯インプラントとの有意な差はないに等しいように感じます。
20世紀も半ばになって、整形外科に一定の成果があらわれはじめた頃、デンタルインプラントも足並みを揃えるかのよう方向性を模索しはじめます。見てきたようなことを敢えて言わしていただければ、この頃のデンタルインプラント研究者の悩み所は、生体の拒絶反応だったのではないでしょうか。
それ以前もそうだったのかもしれませんが、科学的知見を得て、焦眉の急がその点の解決だということがようやく見えてきた時代だったのではないかと思うのです。