
つまり、オッセオインテグレーションインプラントの隆盛は、偶然の助けを得て、工学的なアプローチだけでつかみ取った栄冠であり、その事に無自覚でいる間は、今後の発展も偶然によるものか、もしくは局所的なものに限られるのではないかと、論理的に帰結できる気がします。
今、デンタルインプラントの研究は大きく2つの方向性に分けられると思います。
それぞれ現段階で欠かすことのできない大切な研究です。
1つ目はオッセオインテグレーションインプラント治療を、「より安全に・より確実に・より美しく」するための研究です。これはまさに工学的なアプローチか主流になりそうです。実際にインプラント体の形状を工夫してみたり、表面に何らかの化学処理・物理処理をしたものを用いたりすることが試されていますが、まさに工学的なアプローチだといえるでしょう。
2つ目はオッセオインテグレーションインプラントへの挑戦です。偶然の恩恵を超えて、生体への深い理解の元にあるべきデンタルインプラントを見いだそうとする研究です。例えば、天然歯には存在してインプラント義歯には存在しない「歯根膜」という歯周組織がありますが、この歯根膜の生体における働きをしっかりと調べ、それがもし大切なものであるのなら、歯根膜の存在するデンタルインプラントへの挑戦は当然なされるべきでしょう。